■ ラフィン・パニック・1 ■
私はヴェルジェ公女エステル。
義兄とともにリュナン軍に加わっています。
戦いは激しくなる一方ですが…軍の皆さんには優しくして頂いて、辛さもまぎれます。
でも…たった一つ…たった一つだけ問題が…

「…ラフィンがサーシャ様にべったりで困る?」
突然の言葉にアーキスは面食らった。
ここはリュナン軍の宿。先程、丁度戦闘が終了し宿で皆、休んでいるところである。
そこでアーキスの部屋にエステルが、突然押しかけてきた。
アーキスは驚き半分、嬉しさ半分(そして期待も少々)で彼女を迎えたわけだが…
「そうなのよ。兄上ってばリュナン軍に合流してからというものずーっとサーシャ様にべったりなのよっ!そりゃ、王女はそんなに強いわけじゃないし、誰かが側に居て上げないといけないのはわかってるけど…」
そう言ってまくし立てるエステル。かなり興奮している様だ。
「う〜ん…確かにあの二人ずっと一緒にいるよなあ。でも、王女さんはまだ弱いンだし誰かが付いていてやらなきゃいけないんじゃないか?」
「それはそうだけど…でもでも、おかしいじゃないっ!
なんで兄上だけなの?他の人だって良いじゃない…。たとえばリュナン様とか」
そう言ってうなだれるエステル。今にも泣きそうな表情で
「おいおいっ。そんな顔すンなよっ。まあ、リュナン様でも良いんだろうが、あの人はそういうのに疎いからな。それに常に全線で戦わないといけないからな」
「…ううっ…でもでも…私は嫌よ…。兄上が他の人と二人きりなんて…えぐっ」
とうとうエステルは泣き出してしまった。さあ、困ったのはアーキスだ。
「泣くなって!ああもう…わかったよ。俺がなんとかしてやるよっ!」
とうとうアーキスはそう言ってしまった…
「本当??」
涙目で上目遣いにアーキスを見て問いかけるエステル。
これに逆らえる男は…居ないだろう。
「あ、ああ…任せとけ!」
無責任に言い放つアーキス。だが。当てはあるのか??

(次回に続く)





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