■ マンフロイの日記 3冊目 ■
グラン暦?年 巨蟹の月
何故、あの時殺せなかったのだろう…後々障害となることは分かっているのに…私は…


それから5年の月日が流れた…


グラン暦?年 処女の月
とうとうユリアは5歳にまで成長してしまった…。
だが、悲観することは無い。
この年頃は親も見張り続けるのは難しい。
…独りになる事も多いだろう…そこをねらえば…

グラン暦?年 双子の月

…殺す機会はいくらでもあった。だが…いまだ始末する事ができない…。
ユリアは私が殺そうと近づく度に私に笑顔を向けてくる…何故だ?
何故そんな顔ができる?私はお前を殺そうとしているのに…

グラン暦?年 天秤の月
いつのまにか私はアルヴィスの目を盗んでユリアに会いに行くようになっていた…。
気がつけばユリアも私が来るのを楽しみにしている気がする。だが…いずれは気がつくだろう。
私が何者であるか。

(日記の残留思念が過去の情景を浮かび上がらせる…)

いつもと変わらない日々。ただ穏やかに過ぎて行く日常。
そんなものとは無縁であり、またそれを嫌っていた男が今はそれに安らぎを感じていた。
本人は気づいていないようだが。
(マンフロイ)「(私は…何をしているのだろう…早くユリアを殺さなければならないというのに…)」
闇の司祭はそんな事を呟きながらバーハラ城近くの丘に立っていた。ここからだとユリアの部屋が良く見えるのだ。
(マンフロイ)「…しかし…私に本当にできるのだろうか…。自分を慕うただ一人の少女を殺せるのか…?本当に」
闇の司祭。いつからそう呼ばれていたのだろう。気がつけばロプト教団のトップとして彼は多くのダークマージを率いる立場となっていた。
尊敬と畏怖を同時に受けることになった…だが。彼はいつでも孤独だった。それは仕方の無いことだと思っていた。ずっと。
だが。彼自身気づいていないことだが…心は絶えず血を流し続けていた。
辛かったのだ。本当は。孤独であることは。
だから…彼はためらい続けている。
初めて自分に安らぎを与えてくれた少女をその手にかける事に。
                      …次回に続く!
                             
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