■ マンフロイの日記 2冊目 ■
そうしてユリアの部屋にたどり着いたマンフロイだったが…
(マンフロイ)「(やはり見張りがおるか…)」
そう。「皇女」なれば当然の事ながらユリアを守護すべく「ユリア親衛隊」なる部隊が彼女の部屋の門を守っていた。
もっとも、この男にかかればは見張りなど無意味なのだが。
(マンフロイ)「…扉から行こうと思ったが…しかたあるまい。
狭間で眠りし闇よ…今こそ其の力をもって我が道となれ…」
呪文詠唱。ちなみに使用したのはある空間からある空間へと渡る呪法。
制限は特に無いが強いて言うなら影のある所にしか転移出来ないということ。
たいていこれを使ってマンフロイは移動している。
それはともかく。めでたく(?)呪法も成功しマンフロイはユリアの部屋へ潜入を果たした。
その光景を見たものがいたとしたらさぞ不気味に感じただろう。
まるで闇に溶け込んでいるかのように消え闇からうまれたかのように出現したのだから。
さほど大きくない部屋の中心に置かれたやや豪奢なベッド。
そこにまだ赤子であるユリアは寝かされていた。熟睡しているのかマンフロイが部屋に侵入したと言うのに起きる気配もない。
もっとも、物音一つたてていないのだから当然の結果ではあったが。
そして。マンフロイは無防備に眠るユリアに接近した…
(マンフロイ)「…なんと無防備な寝顔だ…これから殺されると言うのに…」
そんな事を思わず口走るマンフロイ。
この闇の司祭にそう言わせるほどユリアの寝顔は愛らしくそれでいて無防備だった。
それに何を感じるわけでもなく…ただマンフロイはユリアを殺害すべく彼女の首に手を伸ばした…
ゆっくりとユリアの首に手をかけたマンフロイ。これから締め上げようとしたその時…
(ユリア親衛隊No.6)「何をやってるんだ!」
突然部屋に出現した男が叫ぶ。
…扉が開いてないところを見るとどうやらこの男、部屋の中に初めからいた様だ。
一体何をする気だったのやら…
(マンフロイ)「黙れ。…消えろ…」
ややいらついたようにはき捨てるマンフロイ。その瞬間、男はどこかへと消えてしまった。
(マンフロイ)「さて、邪魔者もきえたことだし…改めて」
何事も無かったかのようにマンフロイはユリアを殺すべく首に手をかけた…。
(マンフロイ)「このようになってもまだ眠り続けるか…」
呟くマンフロイ。手はユリアの首にかかってはいたが一向に力が加えられる様子は無い。不思議な事に。殺しに来たはずなのに。
(マンフロイ)「…今殺さずとも…チャンスはある。そう、今でなくても…」
言い訳がましく呟くマンフロイ。
そして、ゆっくりとユリアの首から手を離した…いったいどういう心境の変化なのだろう?
それは、彼自身理解できていないようだったが。
そして…マンフロイは来た時と同じように音もなく去っていった…
                           
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